ヤフオクで、電源が入らないノートPCを見つけました。
HP ProBook450 G5で、intel i7 第8世代、メモリなし SSDなし で、
ジャンク品とのことでしたが、放電等で使えるだろうと思い、購入することにしました。
しかし、PCを分解してマザーボードを取り出すと..。
今回はマザーボードの基板修理作業になりました。
直せたかどうかは、続きをどうぞ…
(2022年8月15日ごろから 継続中)
HP ProBook450 G5(i7 8550u)をヤフオクで落札・購入


「電源が入らない」ジャンク品の出品があり、
出品写真から外観は正常に見えました。
「液晶の割れはないように見える」こと、「液晶の保証はしません」 とありました。
「詳しいチェックは出来ていない」と書いていました。
今回は、電源が入らないPCの修理に挑むので、外観状況は特に問題にせず、落札しました。
購入時のProBook450 G5の外観状態

どうやら、天面から墜落させた感じです。



かなりの衝撃と推測します。


→ 粘着性のある汚れでした。
PCが到着して確認した状態です。
おそらく、墜落事故品です。
出品の写真と文章は非常に上手だったことがわかりました。
PCの画面を開くと不具合がわかるところばかりなので、出品説明の「詳しくチェックしていない」という文章には問題ありですね。
外観の修理をしたとしても、メーカ品同様の状態に戻すことは不可能な状況です。
(メーカ品同様の外観にするには、筐体の交換しか手がないですね。)
外観は正真正銘の完全ジャンク品でした。
分解!

メモリ、SSD、SATAスロットに何も装着されてないです。
ここには、特に汚れのようなものはないです。

竹串などの棒状のものをファン近くの穴に差し込んで、押します。

フックが外れたところを持って、キーボード全体を取り外します。

フィルムケーブルが奥に見えます。


ここには、特に汚れなどはないです。






分解した痕跡はないです。
(バッテリー交換もしてないみたい。)
バッテリー交換は、簡単とは言えない機種ですね。
バッテリーの取り外し
あちこち触る前に、まずバッテリーを外します。

まずは、フィルムケーブルを外します。

バッテリーを固定しているねじも外します。

バッテリーは若干膨張してました。交換時期が近そうです。
マザーボードの状態確認(片面のみ)


コネクタにノリみたいなものも付着してます。(これも水没特有らしいです)

これも、水滴が原因でしょうね。


錆の色からして、かなり浸食かも。

水没品です。
あちらこちらに、水滴の痕跡がありました。
錆の進行もすすんでいて、かなりひどい状態です。
錆の浸食でパターンも切れているかもしれません。
マザーボードを取り外して、裏面の状態を確認します。
マザーボード取り外し と 裏面状態の確認

おもて面です。

黒シートが貼り付けられています。


ウイスカとは、ハンダの鉛成分などが針状に成長していく現象で、ショートを引き起こします。亜鉛でも起こります。

緑色の錆なので、パターンの銅と反応してますね。


ウイスカや錆が発生していて、復旧はかなり難航すると思われる状態です。
ここまでひどいとは思いませんでした..。
(普通の修理屋さんだと、基板交換を提案されると思います)
ダメもとで清掃して、再組立てしてみる



無水エタノールと歯ブラシで清掃した後の状態が、上の写真です。
このあと、PCを再組立てして、電源をつないで通電してみましたが、0.001アンペア以下しか電流が流れませんでした。
というわけで、分解を兼ねた放電と、錆の清掃では、通電不可を直すことはできませんでした。
内部も完全ジャンクのPCでした。
ここまでで使った工具類
参考までに、使用した工具類を記載します。
竹製ピンセット

電子部品類に触れるときに大活躍
高儀(Takagi) GISUKE 竹ピンセット 150mm TZ-60

工具セット(トルクスドライバセット)

イーバリュー(E-Value) 精密ドライバーセット ビット30種+ハンドル+エクステンションバー入り 32点組 EPS-652

無水エタノール

無水エタノール 400ml

次は、電子部品の交換等で、復旧を試みます。
ショート or オープンしている素子の探索
マザーボードのどこかがショートかオープンになっているはずなので、損傷した素子の探索を開始します。
ショートしたコンデンサの探索
まずは、コンデンサのショートから探索します。
テスターの導通テストモードか抵抗値測定モードで、コンデンサの両極をあたっていきます。



マスキングテープやカプトンテープを貼って、ハンダこてでコンデンサを外しました。
カプトンテープは絶縁用途に使うものなので、使い方が間違っていました。
耐熱性&断熱性のあるテープがいいです。(以降、アルミテープに変えました。)
まん中の写真は、SMD用のジェル状フラックスです。(日本製の サンハヤト製です。)
上の写真の箇所は、導通反応があったコンデンサです。
ですが、コンデンサを外して電源を入れても何も変化はありませんでした。
いろいろなブログや動画を調べてみると、ICやCPU付近にあるコンデンサは、導通反応のあるものがあるので、これだと決めつけないよう注意するように とのことでした。
写真以外のコンデンサも導通テストをしましたが、ショート反応はありませんでした。
というわけで、コンデンサのショート探索は保留にして、
電源系ICの損傷が原因かもしれない..と視点を変えて、主要な電圧(19V 5V 3.3V)が出ているか確認することにしました。
併せて損傷したmosfetを探すことにしました。
損傷したICの探索

3P3R0と書かれたmosfetです。
安定化電源につないで、素子の電圧をあたっていくと、入力側は19.5Vなのに、出力側が0V近辺でした。
ジャンパー線で、ブリッジしたのが上の写真です。
これをやっても、導通不可は変わりませんでした。

写真ではわかりにくいですが、写真上のmosfetの脚も腐食していました。
というわけで、交換です。
交換しましたが、導通不可は変わりませんでした。
ドナーのマザーボードを入手できたので、電圧を比較しながら、不具合箇所を追跡します。

そうすると、写真中央の抵抗の部分のパターンが切れていたので、レジストを剥離して、新しい抵抗をはんだ付けしました。
上記のつづき…
mosfetをon-offするラインをたどると、各mosfetのon-offをコントロールするIC(intersil9538)も壊れていることがわかりました。
交換すると、5V,3.3Vがでるようになりました。 写真は近日中にUPします。
主要電圧が出るようになっても、なにかおかしいので、super-ioのICの各ピンの電圧をドナーと比較してみました。そうすると、出力電圧が異常なところがあったので、ドナーのICと入れ替えることにしました。
他にもあるかも..と思って、ほかのICの電圧をあたっていたところ、やってしまいました。トホホ。
ICの2本の脚をテスターでショートさせてしまい、ICが焼損していまいました。最悪..。
現在、焼損したICを取外して、焼けて剥がれたパターンを修復し、併せてICを中国から取り寄せしたところで、作業を長期中断してます。
作業を再開したら、状況をUPします。
ジャンク品の出品では、「不具合がうまく隠されている場合がある」ということを学びました。
目を皿のようにして出品文や写真を確認しても、気を付けようがないです。
目的がない限り、ジャンク品は落札しないほうがいいです。