難易度が高いと言われている、surface laptop2のバッテリー交換をしました。このページでは、交換方法を公開します。
パソコンの分解を主目的とした海外の有名なサイトで、surface laptop2の分解性の評価点は0点みたいですね。
でも、分解と再組立てを実際にしてみたところ、どちらかというと、分解はカンタンで、再組立てのほうが難易度が高い..という感想です。
というのは、このsurface laptop2 の構造(初代surface laptopも同じ構造)は、粘着剤による貼り合わせで出来上がっていて、パソコンを分解する=粘着剤を剥がす ということになるからです。粘着剤を剥がすと、たいてい粘着剤の再利用ができなくなってしまい、再組立て不可能になってしまいます。
再組立用キットの販売がないので、再組立てするには、粘着剤の選定(両面テープ選び)や切り出しなど、自分でパーツを準備していく必要があります。
では、以下をご覧ください。いろいろハプニングがありましたが、何事もなかったような仕上がりになりました。
2022年5月7日から22日に作業した記録です。
microsoft surface laptop2 をヤフオクで落札・購入
2022年5月にヤフオクで、 surface laptop2 を落札しました。
intel core-i7 第八世代の SSD:512GB オンボード、memory:16GB オンボード、win11 です。
法人向けハイスペックのsurface laptop2 (core-i7)は、出品されることが珍しいこともあり、写真のように「電池が膨張してキーボードが浮いている」と書かれていても、なんとかなるだろう..と軽く考えて、即決で落札しました。
今思えば、それが、苦難の始まりでした..。
購入時の surface laptop2 の外観
バッテリーレポートの数値を確認すると、消耗は8.5%だったので、本当にバッテリー膨張しているのか疑わしい感じでした。
バッテリーレポートの出し方はこちら。(外部サイトが開きます。)
両面テープで応急的に接着する方法 (surface laptop2)
キーボードの右前のカド部分に ぶつけた痕跡があったので、ぶつけた衝撃でキーボードと本体下部が外れた(粘着剤が剥がれた)のかも…と思ったので、
キーボードと本体下フレームを両面テープで応急的に接着して、様子をみることにしました。
キーボードと本体下フレームを貼り合わせる方法は、こんな感じです。
(使用した両面テープの型番や工具は、このページの下のほうで紹介します。)
3日後…
閉じたはずのところが パックリ開いてました。(あれれ..。)
というわけで、バッテリー膨張..と判断して、交換を敢行することにしました。
交換(分解)前の準備 ー バッテリーの放電
surface laptop2 に使用しているバッテリーはリチウムイオン(Li-ion)です。
リチウムイオン電池は、電極をショートすると発火することが多々あります。
作業中にショートさせてしまうと危険なので、バッテリーを放電させます。
放電は電池残量50%ぐらいで良いと書いているサイトもありますが、廃棄することも考えて5%以下まで放電させます。
放電の手順は、
- 画面の輝度を最大
- 一定時間が経過したらスリープしない設定
- 動画などを連続再生
など、考えうる限りの設定にして、放置して電池を使います。(当然、ACアダプタは接続しないです)
バッテリー残量が5%を切ると、上の写真のようになります。
このあと、USBポートにLEDライトを接続すると、残った電池をさらに使用することができます。
(給電USBポートだといいのですが、surface laptop2はそうではなかったです。)
今回は、上の写真の電池の絵が出なくなるまで、電池を放電させました。
(まる1日ぐらいかけて、放電させました。結構、時間がかかりました。)
キーボードの取り外し (surface laptop2)
キーボードを本体下部から取り外し (surface laptop2)
surface laptop2のキーボードと本体下部を接着している部分を開けていきます。
キーボードにはアルカンターラという生地が使用されています。
このページはキーボード(アルカンターラ)の交換方法にもなりますね。
まだ開口していない部分の接着を剥がしていきます。
開口用によく使われる工具は、ギターのピックの形状をしたスクレーパのようなものが一般的に使われています。
でも、厚みがあって強度があり、部品を壊す可能性があるので、私はもっと薄いものを使っています。
本体が壊れるよりも、工具が壊れるほうがいいですからね..。(それは何かは記事の下のほうで紹介します。)
キーボードが開きました!!
ああっ! やってしまったー!
キーボードに接続しているフィルムケーブルが「パキッ」と折れました..。
フィルムケーブルを手配しないと..。
surface laptop2用のフィルムケーブルの出品があるか調べてみると、ヤフオクに出品されてました~ 助かる~。 未使用って書いてあるけど…一応購入しました。
↓の香港の会社も販売してました。多分こちらは新品。日本語ページだったので、\1600+送料で購入しました。
型番は SFL1-005 って書いてます。
キーボード用のフィルムケーブル交換(キーボード側)
もっと気を付けて扱っていたら、余分な作業が増えなくてよかったのに..と反省しながら、surface laptop2のキーボード部のフィルムケーブルの交換に取り掛かります。
キーボード用のフィルムケーブル取外し(マザーボード側)
surface laptop2のキーボード用フィルムケーブルを損傷していなければ、ここから開始です。
これで、キーボードを本体から取外しできます。
surface laptop2のキーボード用フィルムケーブルを新品に交換したので、念ため、初期故障がないかどうかを、PCを起動させて正常動作するか確認します。
(キーボードのフィルムケーブルを損傷して交換したのでなければ、この確認作業は不要です。)
ACアダプタをつないでしまったので、この後、また放電作業です。
急速充電なので、短時間でかなり充電されてしまいます。
起動が確認できたら、すぐに電源offしたほうがいいです。
ヒートシンクの取り外し (surface laptop2)
バッテリーを外すには、マザーボードを外す必要があるようです。
マザーボードの下にバッテリーと接触する端子があるからです。
もの凄い構造ですね。私が設計をやっていたころには、保守性や分解性などが重視されていて、設計レビュー以前の製品コンセプト構想の時点で完全に却下される構造ですが、メーカーの伝統や文化や製品製造や製品サイクルの考え方を刷新すると、ここまで豪快なものができるんですね。
時代の流れを感じます。
では、バッテリーを外せるようになるまで、部品を外していきましょう。
シールドプレートの取り外し
シールドプレートを取外します。
ヒートシンクの取り外し
ヒートシンクを取り外します。
LCDディスプレイの取り外し
LCDディスプレイ用の固定部品がマザーボードに重なるように取り付けられていますので、それを外していきます。
かなり、割り切った設計です。この構造を認めてもらえるなんて… と感心します。
シールドプレートとLCD用コネクタの取り外し
LCDディスプレイの取り外し
マザーボードの取り外し
まずは、マザーボード周辺に固定している部品類を取り外します。
次に、接続しているコネクタを外します。
マザーボード周辺の部品類の取り外し
コネクタ接続の取り外し
これで、やっと、マザーボードを取り外す準備が終わりました。
マザーボードの取り外し
これで、バッテリーにアクセスすることができます。
バッテリーの取り外し
バッテリーを外していきます。
電極の固定も、バッテリーの固定も、ほぼ全て、両面テープです。(一部ねじあり)
アースの基になる電極を粘着剤で接触させるのは、かなり大胆な設計ですね..。(最近のトレンドなのかも知れませんが..。)
バッテリーの取り外しはこれで完了です。
これから、再組立てをします。
使用不可能になった部品類の取り外し
バッテリーを取り付ける作業に入る前に、取り外した部品類の清掃と、再組立てのための準備をおこないます。
粘着部品の取り外し
電極付近に粘着剤が残っているので、溶剤を使って清掃していきます。
(溶剤が何かは記事の下のほうで紹介しています)
底フレームの周囲に、再利用できない粘着部品があるので、剥がします。
写真にはありませんが、底フレームの周囲に粘着部品がついていた部分と、底フレームにバッテリーを固定していた部分を溶剤で清掃しておきます。
底フレームに粘着部品の貼り付けと整形
底フレームのヘリ部分に粘着部品を貼り付け・整形
バッテリー部の導電性粘着部品の貼り付け
バッテリーと底フレームを導通するための導電性粘着部品を貼り付けます。
底フレームの貼り付ける部分を溶剤で清掃することをお忘れなく。
バッテリーの取り付け
購入したバッテリーはmicrosoftの純正品です。
どこで購入したかは、記事の下のほうで紹介しています。
バッテリーの裏側に両面テープ貼り付け
両面テープのサイズは、42mm × 88mm で、写真の白の箇所に貼ります。
貼る位置は、端から28mm、下から7mmです。
バッテリーを底フレームに取り付け
これで、バッテリーの取り付けは完了です。
熱伝導グリスの清掃
熱伝導グリスを溶剤で拭き取ります。
使用した溶剤はこの記事の下のほうで紹介しています。
再組立
これまでの手順と逆の手順で組み立てをします。
LCDディスプレイを取り付けして、ネジ固定し、
コネクタを4つ固定するところまで、再組立します。(写真解説なしでスミマセン。)
熱伝導グリスの塗布
熱伝導グリスを塗りつけします。
メーカのようにドボ塗りはしないです。
熱伝導グリスの量と、塗りかたの解説がこちら(外部サイト)にあります。参考にしてください。
2~3℃は下がるようです。
写真はありませんが、ヒートシンクのヒートパイプの部分にも、熱伝導グリスを塗ります。
どんな熱伝導グリスを使っているかは、記事の下のほうで紹介しています。
再組立
あとは、キーボードを取り付けする前まで、再組立てします。
シールドプレート取り付け、ヒートシンク取り付け、配線、etc.
キーボードを写真のように、底フレームの上に置いてみます。
四方がぴったり合うか確認します。
最終組立
完成
surface laptop2のバッテリー交換が完了しました。
感想
Microsoft surface laptop2 は 両面テープを多用した構造になっています。
パソコンがスマートフォンに近い構造になってきていると思いました。
構造が分かっていれば、壊さず分解できて再組立ができます。
このページを見れば、構造がわかるので、安心して修理・交換できると思います。
みなさんのセルフリペアを応援しています。
使用工具 粘着部品類の紹介
作業で使用した工具類や粘着部品類を以下に紹介します。
工具や粘着部品を探すのに意外と時間がかかりました。
粘着部品は似たものも多いので、いろんな種類を購入して、どれがいいか試しました。
あまり公開したくないのですが、ここまで見てくださった皆さんのために紹介いたします。
探したり迷ったりすることなく購入できますので、みなさんのお役に立てると思ってます。
但し、これらの部品や工具を使った場合、メーカー保証はありませんし、これを使ってうまくいく保証はありません。自己責任でよろしくお願いいたします。
surface laptop2用 バッテリー
↑上は純正品です。(notepartsさんから買いました。)
↓下は互換品です。(お勧めしないです。)
DYNK01 45.2Wh 互換バッテリー MICROSOFT surface laptop 1/2代 1769 DYNK01 G3HTA036H 交換用ノート電池 microsoft dynk01 バッテリー 5970mAh 7.57V
両面テープ
日東 再剥離可能強力両面テープNO5000NS 15mm×20m 5000NS15
カッターナイフとナイフ刃
オルファ(OLFA) 特専黒刃(小) 10枚入 BB10K
プラ製の開口工具
竹製ピンセット
高儀(Takagi) GISUKE 竹ピンセット 150mm TZ-60
工具セット(トルクスドライバセット)
イーバリュー(E-Value) 精密ドライバーセット ビット30種+ハンドル+エクステンションバー入り 32点組 EPS-652
マスキングテープ
タミヤ メイクアップ材シリーズ No.30 マスキングテープ 6mm プラモデル用ツール 87030
タミヤ メイクアップ材シリーズ No.31 マスキングテープ 10mm プラモデル用ツール 87031
タミヤ メイクアップ材シリーズ No.32 マスキングテープ 18mm プラモデル用ツール 87032
マイクロナイフ
アイガーツール(EIGER TOOL) マイクロナイフ 平刃・1.2mm (TK-02)
ノギス
タミヤ クラフトツール 精密ノギス 74030
↑Amazonで「この商品は現在お取り扱いできません。」になってます。
粘着部品(両面テープ)
3M VHB アクリルフォーム構造用接合テープ Y-4920 5mm幅 x 3m 厚み0.40mm
デザインナイフ&刃
タミヤ(TAMIYA) クラフトツールシリーズ No.20 デザインナイフ プラモデル用工具 74020
3M スコッチ チタンコートカッター Sサイズ用替え刃5枚入り TICRS5
工作用ナイフ
貝印(Kai) メスホルダー NO.3 ステンレス /1-8545-01
フェザー替刃メス NO.11 20枚入
導電性粘着部品
3M 導電性不織布両面テープ No.CN4490 A4シート(200mmx300mm) 1枚
溶剤
熱伝導グリス
アイネックス(AINEX) ナノダイヤモンドグリス JP-DX1
プラケース
みなさん、セルフリペア 頑張ってくださいね。